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さまざまな貧困・孤立と地域特性をリサーチする

  • 執筆者の写真: 金子充
    金子充
  • 1月28日
  • 読了時間: 4分

2024年度 社会福祉学科2年「福祉開発フィールドワーク」金子ゼミ



地域には埋もれたまま深刻化する福祉の課題がたくさんあります。たとえば、近隣とのつながりの希薄化、貧困・孤立を背景とした犯罪、人口減少による空き家の増加、若者の減少による雇用崩壊とコミュニティの衰退、などです。


2024年度のフィールドワークでは、地域のさまざまな社会課題を見つけ出し、それらに対して取り組まれている実践を学びました。また当事者・支援者と交流・対話しながら研究を進め、自分たちにできる活動は何かを考えました。


さらに、東京では見つけにくい地域課題を探り、また東京では実現しにくいコミュニティ形成のあり方を探るため、いくつかの特色ある地域に出向いてフィールドワークをおこないました。分野・領域にこだわらず、多様な人・地域・コミュニティにかかわりながら学ぶアクションリサーチを展開し、「リサーチ力」を育みました。



1.無料低額宿泊所と障害者グループホームを訪ねて

 2024年8月1日に、さいたま市にあるNPO法人ほっとポットを訪問し、運営する無料低額宿泊所、障害者グループホームを見学し、入居者にインタビューをおこないました。

 病気やケガで仕事を失い、生活に困窮してホームレス生活を経験した複数の方々からそのライフストーリーをうかがい、自力では社会復帰が困難な方々の現状や思いを知ることができました。入居者の方々は多くのつらい経験をしながら、いまは安定して前向きに生きようとされていることがわかりました。

 ホームレス者のための無料低額宿泊所は都心には少なく、家賃が安い郊外(埼玉県や千葉県)に多くあるようです。空き家を改修して施設にしているものがほとんどで、ごく普通の住宅街にあり、近隣住民との「コンフリクト」を抱えることも多いようです。元ホームレスや精神障害者に対する市民の偏見の強さを理解しました。



2.大阪「釜ヶ崎」(あいりん地区)をたずねて

 2024年9月12日、大阪西成にあるドヤ街、通称「釜ヶ崎」(あいりん地区)を訪問し、家を失った方々のための「あいりんシェルター」も含めて見学をおこないました。周辺地区(太子、山王、新世界、飛田新地)も含め、下町文化の残る大阪の魅力もあわせて感じることができました。

 この地域で多様な活動をされている漫画家のありむら潜さんの案内のもと、35度を超える猛暑の中での数時間のスタディツアーでした。全員が心身ともに消耗し、炎天下で野宿生活をする方々の気持ちを想像しました。

 あいりんシェルターは大変清潔で、話によると「日々使用する場所がきれいであると生きる活力になる」とのことでした。こうした取り組みは、どのような状況下の人であっても一人一人が尊重されるべきだというこの町の考え方を表していると理解しました。



3.神戸市塩屋地区における「社会的養護」の取り組み


 2024年9月14日、神戸市垂水区塩屋にある児童養護施設「神戸少年の町」と「NPO法人Giving Tree」を見学させてもらいました。神戸少年の町は戦後直後にある神父によって設立され、自然に囲まれた高台の場所にあり、子どもたちの社会的養護に取り組んでおられました。施設はユニット制で、子どもたちは様々な困難な経験をしながらも、ここではのびのびと暮らしている様子も見られました。退所後の社会生活やキャリア形成などの課題もあるようですが、半日の見学ではわからず、自分たちの勉強不足も感じました。



 塩屋には、ファミリーホームを運営し、里親支援・子育て支援を実践しているNPO法人Giving Treeがあり、地域に根ざした様々な取り組みを紹介してくださいました。ファミリーホームは児童養護施設を小さくしたような「ふつうの家」であり、里親さんは複数の子どもたちを自分たちの子のように育てているとのことでした。

 塩屋の市民や商店は社会的養護に理解があり、例えば塩屋駅の近くにある古着屋「シオヤコレクション」は売り上げの一部を社会的養護のために寄付してくれる地元の協力企業さんとなっていました。



 2024年の夏はあまりにも暑く、フィールドワークをするには過酷すぎました・・・。

 (写真は神戸フィールドワークの締めくくりの明石海峡大橋)



4.その他、やれたこと。


 授業では、被虐待と精神疾患を経験する当事者を招き、ライフストーリーと現在の就労と生活困窮の状況についてうかがいました。

 また、現代の子どもたちが置かれている学校環境や生きづらさを理解するため、小学校教諭であり、横浜市戸塚区で子どもたちのための学習教室と居場所づくりをしている志田先生を招いて、ワークショップを開催しました。


以上、2024年度「福祉開発フィールドワーク」金子ゼミの報告でした。

(文責:学生有志+金子充)



 
 
 

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